第129号:ニーズが多様化する時代だから「やりたい事」が「正解」
外部環境の変化はますます速くなっています。加えてニーズも多様化してきているので、市場環境を分析して経営判断をするということがとても難しくなっています。
そうした中で中小企業はいかにして生き残っていけばよいのか、と不安な日々を過ごす経営者は少なくないのが現実ではないでしょうか。
成熟した市場では、商品そのものでの差別化以上に、お客様に対する思いやサービス体制まで構築しなければならない
ニーズが多様化しているということは、裏を返せば何をやっても成功する可能性があるということです。しかし、それと同時に失敗する可能性もあるということです。だからこそ「何をやるか」よりも「何のために」やるかが大切なのです。
成熟した市場では、サービスの質の差でお客様は選択しているので、商品そのものでの差別化はとても難しいです。ですから「何をやるか」という商品発想的な考え方ではなく、「何のために」行うのかという、お客様に対する思いやサービス体制まで構築しなければならないのです。
強い思いを持ち、お客様の心を動かせば、お客様に価値が伝わります。消費者は商品を買っているのではなく体験を買っています。いくら良い商品やサービスがあっても、お客様に価値が伝わらなければ、無いも同然なのです。
価格設定という観点で市場を見ても、安いものと高額のものでは100倍の価格差があります。飲食店、住宅、家具、衣料品など、どの業界も100倍以上の価格差があります。それほどの価格差があっても、消費者は自分にとって価値があると思えば100倍の値段でも買うのです。逆に自分にとって価値がないと思えば100分の1でも買ってもらえないのです。
他社に比べて何十倍もの高額料金にもかかわらず大人気な企業もある!!
例えば、今話題のライザップを例に説明します。従来の物売り的な発想だと、スポーツジムはジムの施設や設備を提供しているわけです。これが競合と1万円以下で価格競争をすることになるのです。
それに対しライザップは「結果にコミット」をキャッチコピーに、短期で美しいボディーを手に入れることや、今までダイエットに失敗してきた人達に「成功を約束する」という価値を提供しています。ですから、サービスの内容に他社との違いを出すことができ、専属のトレーナーがトレーニングメニューをつくることだけでなく、食事の指導やメンタルサポートまで寄り添いながら行うのです。それよって、他社に比べて何十倍もの高額料金にもかかわらず大人気となっているのです。
これからの時代は「何をやれば儲かるか?」ではなく、何をやってもうまくいく人と、うまくいかない人に分かれるのです。
事実、全体が潤っている業界はありません、どの業界も業績を伸ばしている会社と衰退する会社に分かれています。
どんな業界が儲かるかを考えるより、自社の強みを最大限に発揮できるビジネスモデルをつくり上げることが大切なのです。
画像引用:photo AC