2021.05.24

ベテラン経営コンサルタントから学ぶ!経営者の仕事で必要な経営学 マーケティング戦略の基礎【価格設定と商品構成編】

佐治

皆さんこんにちは。さじコン経営をご覧いただきありがとうございます。
前回はペルソナの設定で、中小企業においてどういう風にペルソナを設定しなきゃいけないのか、そしてなぜ絞り込むのかという話をさせていただきました。前回の動画を見てない方は、今回シリーズで4作目なのでぜひ遡って見ていただきたいと思います。
そして今回は、これからの時代で生産性を上げていく、収益を上げていくために最も重要な価格設定と商品構成についてお話していきたいと思います。 これからの市場縮小する時代に最も重要なノウハウになりますので、今回も是非楽しみにしていただきたいなと思っております。
今回もインタビューいただくのは立川君、どうぞよろしくお願いします。

立川

よろしくお願いします。
今回はマーケティングのシリーズも最終話ということで、1話目も2話目もどれをとっても全部重要なんですけど、何回も動画見ることによって、より自分の経営の仕方が研ぎ澄まされていくなって感じで今日も興奮しております。

佐治

やっぱり全体最適なんで、どこか部分だけ見てるとうまくいかないんですね。このシリーズ全部見ていただくと、全体最適ってことがどういうことか分かると思います。

立川

それでは早速教えていただいてもいいですか。

■適当な価格とは?

佐治

価格設定っていうとほとんどの方が、僕流に言うと誤解を承知で言いますけど、適当で値段つけてるんです。値決めに根拠を持っている所というのはあんまりなくて、いくらぐらいだったらみんなが買ってくれるんだろうって事で、たくさんの人が買ってくれるという価格を設定してしまっているんですよね。
そうではなくて、根拠を持って価格設定をしていく、そして商品構成を作っていくということですね。ここが非常に会社の収益に大きな影響を与えるところですね。ぜひそのあたりをお話ししていきたいと思います。

立川

適当に決めているというお話でしたけど、まあ適当というわけでもないのですが。ある程度市場とかでは考えていますが、なぜかっていう細かいところまで突っ込まれると、最後は匙加減ていうところなんです。

佐治

何が適当なのかと言いますと、まあ適当というと語弊があるのでよく聞いていただきたいんですが、何を基準に価格を決めているのかっていうことですね。適当って言ったのは、基本的にはいくらだったら買いやすいかなって思ってしまったりするわけです。
でも会社っていうのは、ビジョンの達成のためにあるわけですよね。そのビジョンの達成と価格っていうのが繋がっていなければいけないと思うんです。そういった意味では、自分たちが設定した生産性目標であったり、利益目標であったり それと価格を合わせていくことが大切なことなんですよね。そして後からその価格に見合う付加価値をどのように提供していくかということで、付加価値を上げていけばいいわけなんです。
ここで今回は、大阪にあるポップコーンパパというポップコーン専門店の事例を紹介させて頂きながら説明していきたいと思います。

立川

ポップコーンパパさんって聞いたことありますね。

佐治

大阪のUSJと海遊館と本社ビルの中で販売してるんです。

立川

USJにありますね。ここを佐治社長がコンサルされたんですか。

佐治

そうですね。こちらの会社は非常に素晴らしい経営をしておりまして、業績もずっと右肩上がりで上がっていたわけなんですが、まぁ一時期ですねポップコーンブームであったの覚えてますか。海外からも(ポップコーンブランドが)来てブームになったわけです。ブームというのは非常に怖いわけですね。 なので非常に堅実に経営をしてきたものがブームで大きく上がってしまったんで、ブームと共に売り上げが下がってしまったんですね。
やはりそこで売上が下げ止まらないというところでどのようにしていたかという話なんですけども、基本的にブームが去るとお客様の客数がどんどん減りますよね。そこでほとんどの企業が行うのは、どうやって客数を戻すかということなんです。
同じようにこのポップコーンパパさんも、お客様の数を戻すために企業まわりをしてみたり、または催事に出店してみたりとかしていたわけですが、ブームが去って同じように客数が戻るかと言うと、そう簡単に戻らないわけですよ。
そこで考えたのが客単価なんです。基本的には元々繁盛店でしたから、お客様が減ったと言っても通常では十分成り立つぐらいのお客様の数は来てたんですね。ですから過去の成功体験で、これだけのお客さんも客数がなければいけない、これで成り立つと思っていたので、そこから価格の見直しをしましょうという形で価格の見直しました。約9%ほど値上げしたわけですけども、9%上げるというのは非常に勇気がいったと思います。

立川

怖いですよね、正直。

佐治

上げるときに何でもかんでもあげればいいわけじゃないので、上げ方とかあげても良い状況悪い状況とがあるので、そこをしっかりと理解する必要があるんです。
今回の場合ポップコーンというのは嗜好品なんです。消耗品みたいに毎週買うとか毎月買うとかっていうものではないので、お値打ち感よりも魅力の方が重要なんですよね。なので価格もあげてさらに魅力もあげるという事ですね。

立川

最初に着手したのが価格を上げることですか。

佐治

そうですね。そしてパッケージを変えたりとか、そういう形でワクワク感をより演出していったんですね。

立川

パッケージを変えたりするのも佐治社長がサポートされたのですか。

佐治

そうですね。一緒にそういうところも考えていきました。

■商品構成について(実例)

立川

(価格変更)これだけでよくなっていったんですか。

佐治

価格を上げたということは一つですね。さらに商品構成っていうところなんてす。 ここのポップコーン屋は32種類あるのが売りだといっていました。様々なフレーバーがあることが売りだったということなんですが、今の時代は決してたくさんの中が選べるのが価値ではないという時代に変わってきたんですね。
なのでそこから商品を絞り込むということをしました。全部なくすというのはちょっと怖さがあるということなので、通信販売のみ32種類買えるけど、お店では21種類と絞ったんです。

立川

どういう意図があるのですか。

佐治

それは店舗でのコストを下げるために、なるべく少ない人数で運営していけるようにしたということが一点ですね。さらにリピートしていただくためにも、テーマパークのとこにありますからわざわざそこまで買いに行くということはないので、リピートは通販でして頂くために、通販でしか買えないものがあることによって、そこからリピートにも誘導してくということをしました。

立川

そういうことですね。

佐治

そしてさらに店舗のPOPを、一番目立つとこにあるPOPは今までだったら全種類の商品を見せてたんですけども、最も人気のあるそしてリピート率の高い商品と、プラス収益の高い商品を組み合わせて、四つのメニュー絞って協調していったんです。今回は4つとは基本的には一番集客商品であるリピート率の高い商品を購入していただくことによって次のリピートにつなげていこうということですね。
あとは収益商品です。収益が高い商品を組み合わせていったり、後は贈答に使って頂こうというところですね。自分で食べる消耗品だったら価格に敏感なんですけど、贈答だったら逆に安すぎる方がこんなの安いなって思うじゃないですか。

立川

そうですね。ちょっと安いのはプレゼントで贈らないですよね。

佐治

なので大阪セットというもの作って、それ専用のパッケージも作って単価が上がったものをセットする事で、さらに高単価にできますよね。さらに人にあげるって事は口コミに繋がってるのと一緒です。

立川

そうですね。

佐治

このようにして商品構成ってものをコントロールしていったわけです。

立川

なるほど。

■価格と構成を見直した結果の売上は?

佐治

客数よりも客単価とか商品構成をコントロールするということの方が、実はハードルが低いわけです。これによってブームが去っても、粗利率を上げ人件費を下げたことによって利益幅を増やしていくってことと、リピーターの育成に力を入れていったわけです。これによって半年でV字回復していったんですよ。 今の経済はどんどん市場が縮小してるわけですが、にも関わらず客数を上げなければ会社は成り立たないと思い込んじゃっているわけですよね。そうではなくて、ある程度の客数さえあれば価格設定と商品構成でコントロールしていくことはできるわけなんです。

立川

ちなみに、V字回復とはどのぐらい回復したんですか。

佐治

営業利益で10%ほど改善しました。
基本的には現状の問題点の洗い出しの中で、意思決定をどういう風な手順でおこなってくのかというところなんですが、まずは価格の改定っていうのは非常に勇気がいるところですよね。

立川

社長一人の判断でもなかなかできなさそうなところですね。

佐治

社長の決断力があったということも一個あるのですが、あともう一個はきっちり分析したということです。現状と値段を上げたことによってどうなるのかということだとか、逆に上げて客数が減ったらどうなるのかということを、いろんなパターンでシュミレーションを行うというところです。最悪なことがあってもプラスなるということで、例えば9%上げて客数がどれだけ減っても最終的に粗利は変わらない状況だとか、これ以上下がったら逆にマイナス要素の高いということを、様々な形でシュミレーションしていくと決断がしやすくなるんですけども、多くの方が適当につけると言うのはそのシュミレーションを行わずに勇気でやってしまったり、それが危険なことなんですね。

■ポップコーンパパをコンサルする際にネックになった部分は?

立川

佐治社長がコンサルされている中で、ネックだったことは何かありましたか。

佐治

意外となかったんですね。すんなりいきました。
通常では、中小企業は適正価格で販売していないので上げましょうって言うんです。でも上げることが恐怖だったりするので、なかなかそういう決断ができないんですけども、こちらの企業さんはまずちゃんと分析をされていたというのもありますが、意思決定がきちんとできたというところで、目指す単価に対して適正にアップできたってことが非常によかったです。
よくあるのは、僕の提案に対して値上げはするんだけど恐々とやるもんですから、思っていたより簡単出来た、だったらもっと上げておけばよかったということが多いですよね。だけど1回値上げしたものにあまり頻度高くやりすぎるとやりきれないので、だから値上げしたけど思ったほどの収益にならなかったってことがあって、また次の(値上げの)タイミングまで時間かかってしまうとケースが一般的に多いです。

立川

意外と思い切ってやってみても全然大丈夫だということですね。

佐治

今まで多くの企業さんが値上げをしましたけども、予想よりお客様が離れたってケースは1件もないですね。

立川

1件もないんですか。

佐治

予想よりもお客様が理解してくれたっていうことがもう全てですね。

立川

見極められて適正価格にされているんですね。

佐治

だからリスクも計算しますし、そこにどんだけ下がっても最終プラスマイナスどうかってことも当然やって上だからこそ、予想以上に下がるという事ないということですね。

■価格設定の考え方について

立川

価格設定する時の考え方になる素みたいなものがあるんですか。

佐治

基本的には設定根拠というのは3つの立て方があるんです。そもそもどういう根拠で価格を設定するかということ自体、皆さん無意識なんです。
この3つというのは、一つ目が競争思考というものですね。同業他社がいくらつけてるか、だからおいくらでしようっていうのが競争思考ですね。
2番目が原価思考です。原価がいくらだから、そこの上に何パーセント利益をもらっていこうというものですね。
3番目は価値思考の、この三つの思考があるんですけど、自分達はどういう考え方で設定してるかっていうこと自体も無意識ですよね。だから無意識に競争志向で値段をつけてる方、無意識で原価思考の方がいたりするわけです。

立川

なるほど。価値というところが凄く難しそうですね。

佐治

そうですね。ですから今の時代は、どんな業界も価格差というのは100倍以上違うんですよ。食べ物で言ったら何百円から何万円物があったりしますよね。家具であったり家であったり車であったり、もうそれぐらい違うわけです。なのに高い物でも売れているものは売れているわけです。安いものでも売れないものは売れないんです。その違いが何かといったら価値思考で、なぜこの価格なのか、そしてこの価格以上にどんなお客様に満足を提供できるのかということが、ちゃんと説明できてるかということが重要なことなんですね。

立川

付加価値というのが、先ほどのポップコーンパパさんだとたくさんのバリエーションだったりとかなんですかね。

佐治

こちら(ポップコーンパパ)のミッションは、人と人をつなぐこと「ポップコーンを通じて人と人をつないで笑顔にする」というミッションがありますので、だからこそ値段を安くするよりも、上げてでも贈る側のプレゼントに使って頂いたりしながら、そこで絆をつなぐ。その時にパッケージであったりとか様々な演出があることによって、今これを渡して良かったなと思ってもらうということでミッションとも繋がる、そして価格も適正になることを実現したんです。

立川

動画をご覧いただける方も、こぞってやって頂いて良くなったよとか何かコメントでも。

佐治

ぜひ実践していただいて、良いコメントを頂けたら嬉しいですね。

■最後に

佐治

今回は自社の生産性を上げるために重要な価格設定と商品構成の説明をさせていただきました。
価格には三つの決め方があるということ、競争思考・原価思考・価値思考ということです。自分がどういう思考で値決めしてるかということをまず再認識していただいて、ぜひ価値思考で、そして高単価で生産性が上がる価格設定をしていただきたいなと思います。

立川

次回はどういった内容の動画になるんですか。

佐治

次回は、今度はブランディングについて話をしてきたいと思います。
これからでブランディングっていうのは、大手だけのものではなく中小企業にも重要になってきたということですね。これはなぜかと言うと、事実は僅差だけど結果は大差とよく言うんですが、今これだけ世の中が成熟してくると、商品やサービスは実はそんなに変わらないんですよね。ですからプロが見たって、なぜこの商品売れてるのかというのがわからないような時代になってきたんです。でも結果が違うというのは何が違うかというと、イメージであったり伝え方で大きく変わってくる時代なんです。
そういった意味で会社のイメージ作りをしていくのがブランディングなわけです。これについて次回のシリーズでお伝えしていきます。またこちらの方も是非楽しみしていただきたいなと思います。

立川

また次回、ブランディング動画楽しみしています。

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