第124号:絞り込めない経営判断が社員の成長をはばむ
幹部社員がなかなか成長しない、と悩む経営者は少なくありません。幹部育成しようと様々な方法で教育に力を入れているものの思うような成果が上がらない、と多くの経営者が悩んでいます。
その原因は教育の問題だけではなく、選択と集中ができない経営判断が現場を混乱させていることも一因です。
絞込みができない経営の問題点
ニーズが多様化している現代は、ただでさえ顧客対応が複雑化してきています。
現場の幹部が成長する会社は、仕事を絞込み、選択と集中をしているのです。実際、大手の経営はシンプルになっています。
絞込みができない経営は、現場社員の即戦力化に時間がかかってしまうという問題が発生するのです。
例えば飲食店。商品アイテムが50品目なら50品目分の商品知識だけを身につければ良いのですが、商品アイテムが100品目あれば、50の2倍の商品知識を身につけなければなりません。商品の絞り込みができていないからです。
対象とする顧客が絞られていない場合もそうです。様々なお客様を対象にしている場合、お客様それぞれが求めるサービスは違います。その全てのお客様に応えるためにとサービスに取り組むことも教育を難しくします。
幹部育成の近道、それはビジネスモデルをシンプルにすること
すなわち、お客様を絞り込むことをせずに商品を広げていけば掛け算式に現場の業務は多忙になっていくのです。
さらには、不慣れなスタッフたちでサービスを行うことになり、顧客不満足を生み出すことにもなりかねません。お客様からのクレームが増えれば、スタッフのモチベーションが低下する原因になってしまうのです。
まずは現場のビジネスモデルを客観的に分析し、現場スタッフたちを戦力化できるように、単純化することから始めるのがポイントです。
今の時代は、人材採用もますます厳しくなっています。我慢のできない若者も増えているといわれています。人材不足でやむなくお店を閉める店舗も増えています。
単純な経営をこころがけることは、スタッフ全員の心にゆとりを持たせることになり、スタッフの即戦力化や定着率にもつながり、様々な問題を解決してくれるのです。
画像引用:photo AC